この記事のポイント
- 生成AIへの指示は、「役割・やること・背景・出力の形式」の4つを入れると、業務で使える答えが返りやすくなります。
- 指示のコツは、実際の業務に当てはめて練習してはじめて身につきます。提案書・議事録・メールなど、自分の業務の型を作ることが近道です。
- よく使う指示は、GeminiのGemsに登録しておけば、毎回書かずに使い回せます。Gemsは共有できるため、チームで同じ品質の指示を使えます。
業務で使える答えを引き出す指示の4つの要素
生成AIは、指示があいまいだと、あいまいな答えを返します。Googleは、Geminiへの指示に次の4つを含めることを勧めています。
- 役割:AIにどんな立場で答えてほしいか(例:「法人営業の担当者として」)
- やること:何をしてほしいか、何を作ってほしいか(例:「提案書の構成案を作って」)
- 背景:相手・目的・前提となる情報(例:「相手は従業員50名の製造業。人手不足で事務作業を減らしたい」)
- 出力の形式:どんな形で返してほしいか(例:「見出しと1行の説明を箇条書きで、5項目以内」)
このほか、期待する答えの見本を1つ見せる、使ってはいけない表現や守るべきルールを書く、といった工夫も効果があります。一度で完璧な答えを求めず、返ってきた答えに「もっと短く」「根拠を添えて」と追加で指示して仕上げていくのが基本です。
業務別の指示の例
提案書の構成案を作る
「あなたは法人営業の担当者です。次の顧客に向けて、業務効率化ツールの提案書の構成案を作ってください。顧客は従業員50名の製造業で、受注の入力作業に毎日2時間かかっていることが課題です。見出しと、各見出しで伝える内容を1行ずつ、6項目以内の箇条書きで出してください。」
顧客の課題を具体的に書くほど、どの顧客にも当てはまる一般論ではなく、その顧客向けの構成が返ってきます。
会議のメモを議事録に整える
「次の会議メモを、社内共有用の議事録に整えてください。形式は『決定事項』『宿題(担当者・期限)』『次回までの論点』の3つの見出しに分けてください。メモに書かれていないことは補わず、不明な点は『要確認』と書いてください。」
「書かれていないことは補わない」と明記しておくと、AIがもっともらしい内容を足してしまうのを防げます。
お客様へのメールの下書きを作る
「納期が3日遅れることをお客様にお詫びするメールの下書きを作ってください。遅れの理由は部品の入荷遅れです。新しい納期と、再発防止のために取っている対応を入れて、300字程度の丁寧な文面にしてください。」
作った文面は、事実や日付に誤りがないかを必ず人が確認してから送ります。生成AIは、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を含むことがあるためです。
よく使う指示は、Gemsに登録して使い回す
同じ種類の作業で毎回同じ指示を書くのは手間がかかり、人によって指示の質もばらつきます。GeminiのGemsを使うと、役割や手順、出力の形式などの指示(カスタム指示)を登録しておき、呼び出すだけで同じ指示のもとで作業を始められます。
- Geminiの画面のサイドバーから「Gem」を開き、「Gem を作成」を選ぶ
- 名前と、役割・やること・背景・出力の形式を書いたカスタム指示を入力する
- 必要に応じて、社内の書式や過去の良い例などのファイルを「知識」として追加する
- 保存して試し、答えを見ながら指示を直す
作ったGemは共有できます。たとえば「議事録整理」「お詫びメールの下書き」といったGemを部署で共有すれば、誰が使っても同じ品質の指示で作業を始められます。ファイルを追加するときは、社外秘の情報を入れてよいか、社内のルールを確認してから使いましょう。
指示のコツは、自分の業務で練習して身につける
一般的な例文で指示の書き方を覚えても、実際の業務では「どの情報を渡すか」「どんな形式なら次の作業に使えるか」で迷います。自分の業務を題材にして、指示を書き、答えを確かめ、直すことを繰り返すのがいちばんの近道です。
研修に助成金を使う場合も、この考え方が大切です。2026年8月3日以降に提出する計画届からは、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)で、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの研修は助成の対象外になりました。詳しくは「生成AI研修に使える助成金・補助金」の記事で解説しています。
DATAREINの研修で学べること
DATAREINの「業務効率化基礎初級コース」では、2時間×6日・計12時間で、試したい業務を決めるところから始めて、指示を組み立てて再現できる形にする方法、繰り返す業務をGemsとして使い回す方法、NotebookLMで資料を根拠にして読み解く方法までを、受講者自身の業務を題材に学びます。研修の後は、受講状況をもとに独自のAIツールを1つ開発します。